葺き替えは「降ろす」ことから始まる瓦の搬出という、いちばん危ない工程の段取り【さいたま市】
📅 施工時期:2015年10月|本記事は施工当時の記録をもとに再構成しています。建材・工法・費用は変わることがあります。お住まいの状態は現地調査にてご確認ください。
埼玉県さいたま市にて、瓦屋根から金属瓦への葺き替え工事が始まりました。
葺き替え工事というと、新しい屋根材を葺くところに目が向きがちです。しかし実際には、古い瓦を安全に降ろすことが、最初にして最大の関門になります。工期のうち、かなりの割合をこの搬出が占めます。今回は、その「瓦を降ろす」段取りについてご紹介します。
工事の初日、まず取りかかるのは、古い瓦を屋根から降ろすための荷揚げ機の設置です。

新築の屋根工事の現場で、屋根材を上へ運び上げている同じような機械をご覧になったことがあるかもしれません。ただ、「上げる」ときと「降ろす」ときでは、使い勝手がまったく違います。
新築工事では、軽い新しい屋根材を、地上から屋根の上へ運び上げます。荷揚げ機は、本来この動きを想定した形になっています。
ところが葺き替えでは、その逆です。重く、割れやすく、しかも大量にある古い瓦を、屋根の上から地上へ降ろしていきます。同じ機械でも、そのままの形では都合が悪いのです。
| 新築(上げる) | 葺き替え(降ろす) | |
|---|---|---|
| 運ぶもの | 新しい屋根材(軽い・規格が揃っている) | 古い瓦・葺き土(重い・割れやすい・土埃が出る) |
| 量 | 必要な分だけ、計画的に | 屋根一面ぶん、すべて |
| 行き先 | 屋根の上(これから使う) | トラック・産業廃棄物処理場(積み込みまで含めて作業) |
今回のお住まいは、2階の屋根に加えて下屋(げや/1階部分の屋根)があります。そのため、荷揚げ機を通常どおりの形で掛けることができませんでした。
現場は、教科書どおりにはいきません
お住まいの形は一軒ごとに違います。隣家との距離、敷地の広さ、屋根の段差、電線の位置——条件はすべて異なります。「本来の使い方」がそのまま使える現場のほうが、むしろ少ないくらいです。
- 下屋の位置に合わせて、荷揚げ機の掛け方を調整します
- 不安定になる分は、固定と養生を追加して補います
- 屋根の上と地上とで声を掛け合い、必ず二人以上で作業します
- 降ろした瓦は、その日のうちに整理して積み込みます
最後の一項目は、見落とされがちですが大事なところです。降ろした瓦を庭先に積みっぱなしにすると、お客様の生活動線をふさぎ、風で崩れる危険もあります。「その日のうちに片づける」ところまでが、搬出の段取りです。
瓦を降ろす作業は、どうしても音が出ます。土埃も舞います。トラックの出入りもあります。この工程は、お住まいの方にとっても、ご近所にとっても、いちばん負担が大きい期間です。
- 工事の前に、ご近隣へごあいさつに伺います
- 音の出る作業は時間帯を選び、朝夕は避けます
- 養生シートで、土埃や瓦の破片が飛び散らないようにします
- トラックの停め方、資材の置き方は、通行の妨げにならない位置を選びます
葺き替え工事は、瓦を降ろした時点で屋根が「開いた」状態になります。防水紙を張り替えるまでの間、野地板がむき出しです。
この「雨養生を最優先にする」考え方は、生活しながらの葺き替え工事で特に重要になります。詳しくは生活中の住宅で瓦屋根を葺き替える——雨養生ファーストの工程でご紹介しています。
お見積りの段階では、屋根材の値段や工事のグレードに目が向きがちです。しかし実際の現場では、こうした搬出・養生・近隣配慮といった、図面に描かれない部分が仕上がりと安全を左右します。見積書の中身を尋ねたとき、この部分を説明できる業者かどうか——ひとつの見分け方だと思います。
工事の進捗は、あらためて掲載していく予定です。金属瓦へ葺き替えた完成の姿は築45年の瓦屋根を金属瓦へ葺き替えた事例でご覧いただけます。
瓦屋根の葺き替え、金属瓦への葺き替えをご検討中の方は、住医やたべの無料診断をご利用ください。屋根の工法や工事内容については屋根診断・屋根リフォームのページ、屋根材の選び方は瓦・スレート・ガルバリウム鋼板の比較もあわせてご覧ください。