【さいたま市】ナフサショック2026|住宅建材直撃の原料危機・政府対応・12mm合板入荷不定期の現場考察
📅 掲載日:2026年6月|本記事は2026年6月時点の情報を、さいたま市・埼玉県内の住宅リフォーム現場視点で整理したものです。状況は刻々と変化しています。最新情報は経済産業省・各メーカー公式情報をあわせてご確認ください。
2026年2月末の中東情勢悪化を発端に、住宅業界が「ナフサショック」と呼ばれる前例のない供給危機に直面しています。TOTOやLIXIL、パナソニックの一部住宅設備の受注停止に始まり、塗料・シンナー・断熱材・接着剤・ビニールクロス・塩ビ管など、住宅建材のあらゆる場面で値上げ・納期遅延・物理的欠品が連鎖しています。さいたま市・埼玉県内のリフォーム現場でも、お客様への納期説明・代替材料のご相談が日常的に発生する状況です。
そして2026年5月下旬〜6月上旬、住医やたべの現場でも肌で異変を感じる事態が起きました。あらゆる業種で日常的に使う「12mm構造用合板」の入荷が不安定になっているのです。ある日訪れた建材屋では平然と在庫があり、別の日には品切れ──こうした「波のある供給」が続いています。建築現場の最も基本的な部材の入荷が読みづらくなる──これは単なる値上げ問題ではなく、住宅供給そのものに影響しうる注視すべき現象です。
この記事では、屋根板金技能士会会長賞を受賞した住医やたべが、ナフサショック2026の全体像、政府の対応、住宅建材への具体的な影響、そして合板供給逼迫の背景についての業界目線の考察を、できるだけ一次情報をもとに整理してお伝えします。さいたま市・埼玉県でリフォーム・新築をご検討中の方、業界関係者の方は、ぜひ最後までお読みください。
なお、ナフサショックの個別テーマ(シンナー特化・TOTO受注停止・エアコン問題・外壁塗装値上げ・リフォーム全体値上げ)は、住医やたべでもこれまで複数の記事で扱ってきました。本記事は「2026年6月時点の完全アップデート+政府対応タイムライン+12mm合板の現場考察」に焦点を当てています。個別テーマの詳細は末尾「あわせて読みたい」をご参照ください。
まず、2026年に何が起きてきたのかを時系列で整理します。
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2026年2月28日 | 中東軍事衝突発生。ホルムズ海峡の物流リスクが急浮上 |
| 2026年3月6日 | ナフサスポット価格 776ドル/MT(メートルトン) |
| 2026年3月18日 | 三菱ケミカル・旭化成がエチレン稼働縮小を発表 |
| 2026年3月25日 | ナフサスポット価格 1,000ドル/MT台に到達(2月末比+約60%) |
| 2026年3月31日 | 旭化成ポリエチレン全製品+120円/kg値上げ発表。厚労省・経産省合同で「中東情勢の影響を受ける医薬品等の確保対策本部」設置 |
| 2026年4月1日 | プライムポリマー・日本ポリエチレンがPE・PP値上げ・リードタイム未定通知 |
| 2026年4月3日 | 赤澤経済産業大臣が記者会見で「ナフサ在庫4ヶ月分」と表明 |
| 2026年4月8日 | 韓国でナフサ買い占めパニック。韓国首相が買い占めに厳しく対処と表明 |
| 2026年4月10日 | 高市首相がシンナーの「目詰まり解消」を関係省庁に指示 |
| 2026年4月13日 | 旭化成ポリエチレン3割超値上げ報道(日本経済新聞) |
| 2026年4月14日 | 経産省・資源エネルギー庁が「流通の目詰まり」を公式認定 |
| 2026年4月30日 | 高市首相が第6回中東情勢関係閣僚会議で「年越し供給可能」と表明 |
| 2026年5月 | 米国・アルジェリア・ペルー等中東以外からのナフサ輸入が緊迫化前の3倍に拡大 |
| 2026年5月下旬〜6月上旬 | 住医やたべの現場で「12mm合板の入荷が不安定(品薄と入荷を繰り返す)」現象を観測 |
| 2026年6月4日 | 国産ナフサ価格指標 91,021円/kL(過去最高水準) |
出典:LOGISTICS TODAY「高市首相がナフサ由来品『年越し供給』を表明」、経済産業省「赤澤経済産業大臣の閣議後記者会見」、大景化学「ナフサ価格推移表」
ナフサとは、原油を精製する過程で得られる軽質留分の石油製品のひとつです。ガソリンに似た透明な液体で、それ自体は燃料としても使えますが、より重要な用途は石油化学工業の原料として使われることです。
ナフサから何が作られるのか
ナフサを「分解(クラッキング)」することで、次のような石油化学の基礎製品が作られます。
- エチレン・プロピレン・ブタジエン(オレフィン系)
- ベンゼン・トルエン・キシレン(芳香族系・BTXと呼ばれる)
これらの基礎製品から、さらに次の製品群が広がっていきます。
住宅建材に使われているナフサ由来品
- 合板の接着剤(フェノール樹脂・ユリア樹脂・メラミン樹脂等)
- 塗料・シンナー(芳香族系溶剤・合成樹脂)
- 断熱材(発泡ポリスチレン・ウレタンフォーム等)
- 塩ビ管・継手(塩化ビニル樹脂)
- ビニールクロス(壁紙)
- シーリング材・コーキング(変成シリコン等の有機系)
- 防水シート(塩ビ系・ゴム系)
- ユニットバスのフィルム接着剤・浴槽コーティング有機溶剤
- 給湯器・トイレ等の樹脂部品
出典:エネ替える「ナフサとは?プラスチック・包装材・化学品の値上がり理由を解説」
ナフサショックに対する政府の対応は、3月末から4月にかけて急ピッチで進められてきました。主な発言・対策をまとめます。
赤澤経済産業大臣(4月3日 閣議後会見)
高市首相(4月10日 シンナー目詰まり解消指示)
経産省・資源エネルギー庁(4月14日 公式認定)
高市首相(4月30日 第6回中東情勢関係閣僚会議)
出典:LOGISTICS TODAY「高市首相がナフサ由来品『年越し供給』を表明、実像は」、経済産業省「赤澤経済産業大臣の閣議後記者会見」、プラスチックパレット株式会社「日本のナフサ供給の『目詰まり』という言葉を読み解く」
2026年3月以降、住宅建材で具体的に起きていることをカテゴリ別にまとめます。さいたま市・埼玉県内のリフォーム現場でも、以下のいずれかが日常的にお見積り・納期相談に影響しています。
出典:テイガク屋根修理「建材資材の値上げと受注停止の影響」(2026年6月3日更新)、by.ROOMFELICE「ナフサショックはいつまで続く?新築物件の住宅価格への影響」
「ある時はある、ある時はない」──この不定期な入荷こそが、現在の状況の本質を表しています。これは経済産業省・資源エネルギー庁が2026年4月14日に公式認定した「流通の目詰まり」が、実際の現場でどう現れているかの具体例とも言えるでしょう。供給量自体は政府発表通り確保されつつあるものの、川中・川下の流通段階で品目・地域・週単位の偏りが残っている──それが12mm合板でも観測されている、という見方が現実的です。
この入荷波について、業界内では複数の仮説が議論されています。住医やたべでは、化学的な事実関係から見て「合板の接着剤がナフサ由来である」点に注目する必要があると考えています。
構造用合板の接着剤=フェノール樹脂(ナフサ由来)
構造用合板(JAS規格)の接着剤について、業界大手の三井化学グループおよび接着剤専業メーカーの公式情報では、次のように明記されています。
- 三井化学グループ:「フェノールとホルムアルデヒドを主原料とした接着剤で、特類強度が必要な構造用合板の接着に使用されています」
- 株式会社オーシカ:「フェノール樹脂系接着剤で接着した合板は、JAS構造用合板の規格において『特類』または『1類』の接着性能を示します」
つまり、住宅構造用に使われる12mm合板の接着剤は、ほぼ間違いなくフェノール樹脂系です。
フェノール樹脂の原料はナフサに連なる
フェノール樹脂は「フェノール」+「ホルムアルデヒド」を反応させて作られます。このうちフェノールは、ベンゼンを原料として工業的に製造されます。そしてベンゼンは、ナフサを分解して得られる芳香族系基礎化学品(BTXのB)です。
この連鎖構造から見て、ナフサ供給が逼迫すれば、合板接着剤の供給も影響を受ける可能性が十分にあるということになります。実際、ポリエチレン・ポリプロピレン等の他のナフサ系製品で「3割超値上げ」「リードタイム未定」が発生していることを踏まえれば、フェノール樹脂についても同様の逼迫が起きていても不思議ではありません。
・接着剤(フェノール樹脂)の生産が不安定になっている可能性(ナフサ系統)
・建築基準法改正(2025年4月の4号特例縮小・省エネ基準義務化)による構造計算需要増で、構造用合板の需要が押し上げられている可能性
・工務店の駆け込み発注による一時的需要急増
・林業・製材所の物流・運送便の偏在
・為替円安による原木輸入コスト上昇
・特定の合板メーカーの工場稼働調整(過去にも事例あり)
これらが複合的に作用して、「ある時は入荷するけど、別の時には品切れする」という波のある供給を生み出していると考えるのが自然です。「ナフサだけが原因」と断定はできませんが、ナフサショックがその要因の一つになっている可能性は化学的に十分にあり得るというのが業界目線の見立てです。
出典:北海道三井化学「接着剤|フェノール樹脂」、株式会社オーシカ「接着剤の種類・分類」
政府が「年越し供給可能」とした発表自体は、マクロな量的見通しとしては前向きな情報です。しかし、川中・川下の品目別逼迫・地域別の偏りは、しばらく続くと見ておくべきです。
これからリフォーム・新築をご検討の方へ
- 計画は早めに、契約は慎重に:着工を急ぎたい工事ほど、見積もり段階での建材納期の確認が重要
- 代替材料の相談を業者と:「この材料が手に入らないから工事が遅れる」を避けるため、代替案を含めた打ち合わせを
- 納期遅延と価格変動の可能性を契約書で明文化:資材高騰条項・納期変更条項の取り扱いを契約前に確認
- 補助金期限と工事計画のすり合わせ:みらいエコ住宅2026事業など補助金活用の工事は、納期遅延で着工期限を逃すリスクに注意
業界の中で見えていること
住医やたべは、さいたま市緑区を本拠地に屋根・外壁を中心としたリフォーム業を50年以上続けてきました。現場の最前線にいる立場として、ナフサショックの影響を肌で感じています。しかし、こうした業界混乱はこれが初めてではありません。リーマンショック後の建材高騰、コロナ禍のウッドショック、ロシア・ウクライナ情勢以降の原油・資材高騰など、私たちは何度もこの種の局面を経験してきました。
大切なのは、パニックにならずに事実を冷静に把握すること。そして、信頼できる地元業者と十分に相談しながら、納得のいくスケジュールで工事を進めることです。
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2026年の補助金活用についてはみらいエコ住宅2026事業 リフォーム編の解説記事(末尾「あわせて読みたい」参照)、中古住宅購入とリフォームの総費用については「さいたま市で中古住宅を買ってリフォームする総費用シミュレーション2026」もあわせてご参照ください。
ナフサショックの個別テーマ別に、住医やたべでは複数の記事を公開しています。それぞれ別アングルでの考察をまとめていますので、あわせてご参照ください。
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