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防水材料とシンナーが入らない──ナフサ危機、下請け職人に降りてきた話

  
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防水材料とシンナーが入らない──ナフサ危機、下請け職人に降りてきた話

📅 掲載日:2026年4月|本記事は2026年4月時点の情報をもとに作成しています。状況は流動的に変化しているため、最新の供給状況は各メーカー・行政発表をご確認ください。

⚠️ 現場レポート|業界状況

先々週、知り合いの防水屋から「今の現場が終わったら仕事にならん」と言われました。一昨日は塗装屋から「塗料は入る、でもシンナーが入らないから油性塗料が動かせない」と。

4月13日のTOTOユニットバス受注停止は完成品メーカーの話、これは下請け職人の話です。ナフサ危機が現場の足元まで降りてきている──その現状と、今リフォームをご検討中の方への判断材料を、職人視点で整理しました。

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防水屋・塗装屋の声──現場で何が起きているか

まず、最近聞いた現場の声を2つご紹介します。

先々週・防水屋からの一報

付き合いのある防水屋と話していて、今月の中ごろにこんな話を聞きました。

「ウレタン防水の主剤と硬化剤、注文しても入ってこない。今動いてる現場が終わったら、次の仕事にかかれない」

ウレタン防水は、屋上やベランダ防水でいちばんよく使われる工法のひとつです。それを動かしているのは、ナフサ由来の有機溶剤・樹脂系の材料です。主材料そのものが届かない──下請け側にとってはもう値段の問題ではなく、物理的に仕事が止まる状況です。

一昨日・塗装屋からの追加情報

そして一昨日、別の塗装屋から聞いたのがこちらです。

「塗料そのものはまだ入る。でも、それを薄めるシンナーが入ってこない。油性塗料は使えない状態」

外壁塗装には水性塗料と油性塗料があります。屋根や鉄部、付帯部分などはまだ油性塗料が主力で使われる場面が多くあります。そこで使うシンナーが止まれば、塗装の半分は動けなくなる──これが現場のリアルです。

現場の感触:「いつ供給が戻るのか」と聞いても、誰も答えを持っていません。一昨日聞いた段階でも、見通しは立っていない状況です。「夏までに直る」「秋には戻る」という確実な情報は、私たち職人レベルにも下りてきていません。
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なぜ「材料」ではなく「溶剤」が止まったのか

背景を整理します。今回の供給停滞は、原油の高騰と中東情勢に直結しています。

50%
関西ペイントが
4/13から実施した
シンナーの値上げ幅
112ドル
原油先物の
4/7時点ピーク価格
(封鎖前は60ドル台)
半数
3月時点で減産に
入った国内エチレン
プラントの割合

ナフサとは、原油から精製される石油化学製品の元です。プラスチック、ゴム、合成繊維、そして塗料・接着剤・シンナー・ウレタン樹脂といった「溶剤系・樹脂系」のほぼすべてが、このナフサから派生しています。

3月以降、ホルムズ海峡の事実上の封鎖を受けて、国内のエチレンプラントは半数以上が減産に入りました。原料となるナフサ自体の輸入が滞ったためです。

その影響は、上流から下流へと段階的に降りてきました。

影響が降りてきた順番

  • 第一波(3月〜):プラスチック原料・樹脂・断熱材・ゴミ袋などが先に動いた
  • 第二波(4月〜):TOTOがユニットバス受注停止。完成品メーカーが「物が作れない」段階に入る
  • 第三波(現在):防水材料・塗装シンナー・ウレタン樹脂など、職人が日常的に使う「現場の溶剤系」が枯れ始めた

つまり今は、川下の下請け職人にも影響がはっきり出てきた段階です。

時系列で見る現場までの距離

2026年2月末米国・イスラエルがイランへ大規模攻撃
2026年3月2日イランがホルムズ海峡通航船への攻撃を警告。事実上の封鎖状態へ
2026年3月17日赤澤経産大臣「国内需要4カ月分は確保」と会見
2026年4月3日経産省、トルエン等を原料とするシンナーを含む溶剤の安定供給を関係事業者に要請
2026年4月8日国土交通省、建設業者団体に建設資材の溶剤等の安定的調達への協力を依頼
2026年4月13日関西ペイント、シンナー製品の出荷分について50%以上の値上げを開始
2026年4月18日イラン政府、ホルムズ海峡の完全開放を宣言。原油価格は1バレル80ドル台へ急落
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政府の発表と、現場で起きていることのズレ

政府の説明はこうです。

政府の見解:「国内需要4カ月分は確保している。ただちに供給に影響は出ない」(高市首相のXポストおよび赤澤経産大臣会見・いずれも4月初旬)

原料ナフサのレベルでは、これはある意味で事実です。国産ナフサに加え、中東以外からの輸入を増やしているため、川中製品の在庫を含めれば数カ月分は持つという計算になっています。

ただ──同じ4月3日、経産省は溶剤等の関係事業者に対して「シンナーを含む溶剤の安定供給を実施するよう要請」を出しています。4月8日には国交省が建設業界に向けて、建設資材の溶剤の安定調達の協力を依頼しています。

つまり、表向きは「直ちに影響なし」と言いながら、行政の中では裏で「現場の溶剤を止めるな」と必死に手を打っている、というのが実態です。

本音の話:「国民生活に支障が出ないように」と政府は言ってくれているのですが、それを生業にしている我々のような職人は、すでに止まりはじめています。建設・塗装・防水で食べている層は、国民にカウントされていないのかなあ──と冗談混じりに言いたくもなります。本気で詰めるとしんどいので、笑い話にしておきますが。
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ホルムズ海峡が開いたのでは?という疑問について

4月18日、イラン政府は「ホルムズ海峡の完全開放」を宣言しました。原油価格は一時1バレル112ドル超まで上昇していたものが、80ドル台まで急落しています。

「もう収束では?」と思われる方もいらっしゃると思います。ですが、現場の感触はまだ違います。

  • 船は出てもいいことになったが、保険・信頼の面で実流通は完全には戻っていない
  • 「高値で仕入れた在庫」がはけるまで、流通価格はすぐには下がらない
  • 下請けレベルにまで物が回ってくるには、さらにタイムラグがある

現に、海峡開放のニュースから1週間以上経過した時点で塗装屋から聞いた感触でも、「まだ物がない・見通しが立たない」でした。海峡が開いたという報道と、実際に職人の手元に材料が届く話は、別物として見ておいたほうが現実的です。

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住医やたべの現状と、お客様へのお願い

当社の現状もお伝えしておきます。

使う材料が手に入るかを、先に確認するようになっています

以前であれば「現地調査→お見積もり→ご契約→発注」という流れでした。今は、お見積もりの前段階で「この材料は今、入るのか」を問屋に都度確認する工程が一つ増えています。

「見積もりが遅い」「返事が遅い」と感じられる場面があるかもしれません。手を抜いているのではなく、確実にお出しできる材料での見積もりにするためです。先にハンコをいただいてから「材料が入りませんでした」では、お客様に申し訳が立ちません。

緊急性のある工事は、絶対に先延ばししないでください

雨漏り・屋根の破損・外壁の剥離・配管の水漏れなど、今すでに困っている工事は、待っているうちに二次被害が広がります。応急処置で粘れる場面もあるので、まずはご相談ください(→ 雨漏りの応急処置はこちら)。

緊急ではない工事は、焦って契約を急ぐ必要はありません

「今すぐやらないと値段が上がる」と煽る業者の電話やチラシが増えています。値上がりは確かに事実です。ですが──物がない以上、急いで契約しても工事は始まりません。値段の問題ではなく、物理的に動けない状況です。

煽り営業に注意:「来週から大幅値上げです、今日中に契約してください」「ナフサで建材が止まる前に押さえましょう」──こうした即決要求は、ほぼ営業話法と思っていただいて差し支えありません。本当に必要な工事であれば、何社に相見積もりを取っても結論は大きく変わりません。急かす業者ほど警戒してください。

外壁塗装、屋根塗装、ベランダ防水のうち緊急性が低いものについては、状況を見ながら進めるほうが結果として無駄がありません。当社にご相談いただければ、「今やるべきか、夏以降のほうがよいか」を一緒に判断させていただきます。

関連コラム:
ナフサ危機の源流についてはこちら → ナフサ危機とリフォーム値上がり
建材値上がりと見積遅延の背景はこちら → 建材値上がり・見積が遅い理由
TOTOユニットバス受注停止の現在地はこちら → TOTOがユニットバスの受注を止めた日
エアコン2027年問題との関係はこちら → エアコン2027年問題×ナフサ危機

住医やたべは50年以上、屋根・外壁・防水・水まわりまでひと通り扱ってきました。原油ショック・リーマン・震災後の建材不足など、過去にも「物がない時期」を何度か乗り越えています。今回もどうにか凌ぎながら、お客様の住まいを守り続けます。

📎 本記事の参考・出典 出典:経済産業省「中東情勢を踏まえた燃料油・石油製品の安定供給確保及び重要物資の安定的な供給確保のための対応方針(案)」(令和8年4月10日)
出典:東洋経済オンライン「ホルムズ海峡封鎖でナフサ不足が浮上、調達メドはGW前まで」(2026年)
出典:時事ドットコム「依然続くホルムズ海峡封鎖◆あれもこれも石油製品、家計影響どこまで?」(2026年4月16日)
※関西ペイントの値上げ・出荷制限、原油価格、エチレンプラントの減産状況は各種報道(2026年4月時点)をもとに記載しています。本記事は現場で実際に聞いた職人の声と、公開されている一次情報をもとに構成しています。
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