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「足場なしでやってくれ」と言われても断る理由|屋根・外壁工事と足場の話

    
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「足場なしでやってくれ」と言われても断る理由|屋根・外壁工事と足場の話

📅 掲載日:2026年3月|本記事は住医やたべスタッフの個人的な見解・現場経験をもとに書いています。法的な内容は一般的な解説であり、個別事案の判断については専門家にご相談ください。

🏗 足場の話

「足場代が高い。足場なしでやってもらえませんか?」というご要望をいただくことがあります。お気持ちはよくわかります。外壁塗装や屋根工事の見積もりを見ると、足場代だけで数十万円になることもありますから。

ただ、正直に言います。足場なしの工事はお断りしています。これはコスト都合ではなく、法律・安全・品質、すべての面で理由があります。なぜ断るのか、その理由を説明します。

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足場がないと何が起きるか

① 安全面:職人の命に直結する

一般的な2階建て住宅の軒の高さは地面から5〜7メートル程度です。足場なしでその高さの外壁を塗装しようとすると、職人は不安定な脚立の上や屋根の端に立って作業することになります。

少しバランスを崩したら、あるいは塗料で足元が滑ったら——転落事故は一瞬で起きます。足場は「あると便利」ではなく、職人の命を守るために不可欠な設備です。

② 品質面:仕上がりが根本的に変わる

足場があることで、職人は両手を使って安定した姿勢で作業できます。足場なしでは、体を支えながらの作業になるため、塗りムラ・塗り残し・コーキングの仕上がり精度が大きく下がります。「安く頼んだのに仕上がりが悪かった」という事態の原因の一つが、足場を省いた施工です。

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「足場なしでやって」と言っても断られる理由

法律で義務付けられているから

📜 労働安全衛生規則 第518条(要旨)

「事業者は、高さ2メートル以上の箇所で作業を行う場合において墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、足場を組み立てる等の方法により作業床を設けなければならない」

出典:e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」

一般的な戸建住宅の外壁・屋根工事はほぼすべて高さ2メートル以上での作業になります。つまり、足場を省いた工事は法律違反になりうるということです。

施主(お客様)が「足場なしでいい」と言っても、違法な作業環境を提供した場合の責任は業者側に課せられます。「頼まれたからやった」は法的には通りません。だから断るのです。

⚠ 罰則について:労働安全衛生法に違反した場合、業者は6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金の対象となります。また、事故が起きた場合は民事上の損害賠償責任も生じます。
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事故が起きた場合の責任の所在

「足場なしでいい」と施主が言って業者がそれを受け入れた場合、万が一事故が起きたときの責任はどうなるでしょうか。

項目 ✅ 足場あり(適法) ❌ 足場なし(違法)
法的責任 業者の安全管理義務を果たしている 業者が労働安全衛生法違反となりうる
施主の責任 基本的に問われない 「足場なしを指示した」として共同責任を問われる可能性もある
保険対応 業者の賠償責任保険が適用されやすい 違法工事として保険が適用されないケースがある
職人の労災 労災保険の適用対象 違法状態での事故として処理が複雑になる
現場の話

「施主さんが頼んだんだからいいじゃないか」という論理は通りません。安全基準を守る義務は業者側にあります。お客様のご要望に応えたいのはやまやまですが、職人の命・法律・保険、すべてが絡んでくる話なので、ここだけは譲れません。

最近こんなこともありました。「屋根塗装だけだから足場なしでできるだろ」と言われたことがあります。技術的にはできます。でも、その現場は隣が公園、前が主要道路でした。塗料が飛散したり、ケレン作業や高圧洗浄のごみが通行人や公園の子どもたちに飛んでいったら——そう考えると、足場なし・養生なしではとても引き受けられない。お断りしました。

職人の安全だけでなく、周囲の方への安全配慮という意味でも、足場と養生は必要なんです。

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隣家との距離が狭い場合(狭小地)はなぜ割増になるのか

「隣の家との間が狭くて足場が入らないと言われた」「割増費用を請求された」というご相談もよくいただきます。

狭小地で使われる足場の種類

くさび式足場

一般的な住宅工事で最もよく使われる足場。隣家との距離が60〜70cm以上あれば設置可能。安定性・安全性が高く標準的なコスト。

単管足場

鉄パイプを組み合わせる足場。隣家との距離が狭い場所(幅1m未満)など、くさび式が設置困難な狭小地で使われることが多い。2024年4月の法改正により、幅1m以上の箇所では本足場(二側)での設置が原則義務化されたが、狭小地では例外として認められている。

ブランコ足場(ロープ)

屋根からロープで吊り下げて作業する工法。足場が一切設置できない場合の最終手段。費用は最も高く、作業できる範囲も限られる。

割増の目安

  • 隣家との距離が狭い(60cm未満):通常より20〜50%増し程度が目安
  • 単管足場に変更:資材・組立コストが上がるため割増
  • ブランコ足場:通常の数倍になることもある
🔔 狭小地でも足場は省けない:「狭いから足場なしで」という発想は危険です。狭い場所こそ転落リスクが高く、足場・安全設備が必要です。工法を変えることでコストは上がりますが、安全と品質を担保するためのコストとご理解ください。
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足場代は「安全への投資」です

足場代を「無駄なコスト」と感じる気持ちはわかります。工事が終われば撤去されて手元には何も残らないわけですから。

ただ、考え方を少し変えてみてください。足場代は:

  • 職人が安全に作業するための環境費用
  • 仕上がり品質を確保するための必要コスト
  • 万が一の事故に備えた法的リスク回避のコスト
  • 隣家や通行人への飛来・落下物対策のコスト

足場なしで安く工事をしてもらって、仕上がりが悪かった・事故が起きた・後から修繕が必要になった——こうなると、最初から適切な費用で工事をしていたほうがずっと安くついた、というケースが少なくありません。

最後に

「足場代が高い」と感じたときは、ぜひ「なぜこの金額なのか」を業者に聞いてみてください。きちんと説明できる業者は、それだけ安全と品質に真剣に向き合っている業者です。説明できない・ごまかすような業者なら、それ自体がひとつの判断基準になります。

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