屋根の葺き替えに確認申請が必要になったのか|さいたま市
📅 本記事は2026年9月時点の建築基準法および国土交通省の公表資料をもとにしています。制度は改正されることがあり、また個別の工事が手続きの対象になるかどうかの判断は特定行政庁が行います。実際の工事にあたっては、必ず設計者・施工業者・特定行政庁にご確認ください。
「屋根の葺き替えには、建築確認申請が必要になったんですよね?」——さいたま市のお客様から、こうしたご質問をいただくことが増えました。ネットで調べたら書いてあった、他社の営業の方に言われた、という流れです。
先にお答えします。屋根材だけを葺き替えるのであれば、建築確認申請は不要とされています。2025年4月に建築基準法が変わったのは事実ですが、そのことと「葺き替えに確認申請が必要になった」はイコールではありません。
一方で、野地板などの下地まで含めてやり替え、それが屋根の半分を超える場合は、手続きの対象になります。この線引きを、国土交通省の資料をもとに整理します。
この話がややこしいのは、ネット上の説明が食い違っているからです。「2025年4月から葺き替えには確認申請が必要になりました」と書いてあるページもあれば、「屋根の葺き替えに確認申請は不要です」と書いてあるページもあります。どちらも自信を持って書かれているので、読むほうは困ってしまいます。
なぜ食い違うのか
理由は、別々の時期に出た、別々の話が、それぞれ独立して広まったからです。
- ひとつは 2025年4月1日施行の改正建築基準法。いわゆる「4号特例」が縮小され、木造2階建て住宅でも大規模の修繕・大規模の模様替をするときは建築確認・検査が必要になりました
- もうひとつは 令和6年2月8日付けの技術的助言(国住指第355号)。屋根ふき材のみの改修は、そもそも「大規模の修繕・模様替」に当たらないものとして扱ってよい、と国が示したものです
前者だけを読めば「葺き替えも確認申請が必要になった」と読めてしまいます。後者を知っていれば「屋根材だけなら対象外だ」と分かります。この2つを合わせて初めて、正しい絵になります。
困るのは、判断の材料が増えないことです
この食い違いが厄介なのは、単に情報が古い・新しいという話ではないところです。「法律が変わりましたので」と言われると、お施主様の側は反論のしようがありません。制度の話を持ち出されると、それ以上聞きにくくなってしまいます。
けれども、本当に必要な手続きであれば、なぜ必要なのかを説明できるはずです。逆に、説明できないまま費用だけが乗っているのだとすれば、それは確かめたほうがよいことになります。この記事は、そのときにお施主様の側が持っておける材料を整理するために書いています。
結論を先に整理しておきます。屋根ふき材(瓦・スレート・金属板など)だけを葺き替えるなら、確認申請は不要とされています。屋根ふき材の改修にあわせて野地板などを含む屋根を構成する全ての材をやり替えることになり、その部分が過半に及ぶなら、大規模の修繕・模様替に該当します。以下、順にご説明します。
これまで、木造2階建て以下の小規模な住宅については、建築士が設計していれば建築確認の際に構造関係などの審査を省略できる制度がありました。これがいわゆる「4号特例」です。2025年(令和7年)4月1日から、この対象範囲が縮小されました。
この改正でよく話題になるのは新築の場合ですが、リフォームにも関わる変更が含まれています。国土交通省の資料には、小規模の木造建築物について大規模の修繕・大規模の模様替をしようとするときには、新たに建築確認・検査を要することとなった、という趣旨の説明があります。つまり、これまで手続きが不要だった規模の住宅でも、工事の中身によっては手続きが必要になった、ということです。
国土交通省の資料では、2025年4月1日以降の手続きの対象は次のように整理されています。
| 区分 | 規模 | 大規模の修繕・大規模の模様替をするとき |
|---|---|---|
| 2号建築物 | 階数2以上 または 延べ床面積200㎡超(1号建築物を除く) | 建築確認・完了検査が必要 |
| 3号建築物 | 1号・2号以外で、都市計画区域等の区域内(=平家かつ200㎡以下) | 手続不要 |
「新2号建築物」「新3号建築物」と呼ばれることもあります。さいたま市の一般的な木造2階建て住宅は、ほぼ2号建築物にあたります。つまり、大規模の修繕・大規模の模様替に該当する工事をするのであれば、建築確認と完了検査が必要になった——ここまでは、そのとおりです。
問題は、ここから先です。ご自宅の屋根の葺き替えが「大規模の修繕・大規模の模様替」に当たるのかどうか。ここを確かめないまま「2号建築物だから確認申請が必要」と結論づけてしまうと、話が一段飛んでしまいます。
建築基準法でいう「大規模の修繕」「大規模の模様替」は、日常語の「大がかりな工事」とは意味が違います。国土交通省の解説資料では、次のように示されています。
ポイントは2つあります。
- 主要構造部の工事であること。壁・柱・床・はり・屋根・階段のいずれかに手を入れる工事が対象です。キッチンやトイレ、浴室といった水回りだけのリフォームや、手すり・スロープの設置は対象外です
- その一種以上について「過半」であること。半分以下であれば、主要構造部の工事であっても大規模の修繕・模様替には当たりません
「過半」は部位ごとに測ります
過半の判断は主要構造部ごとに行うこととされており、国土交通省の解説資料「建築物の改修における建築基準法のポイント説明会」では、判定に使う量が次のように示されています。
- 壁 …… 総面積に占める割合
- 柱 …… 総本数に占める割合
- はり …… 総本数に占める割合
- 床 …… 総水平投影面積に占める割合
- 屋根 …… 総水平投影面積に占める割合
- 階段 …… その階ごとの総数に占める割合
屋根の場合は、真上から見た面積で半分を超えるかどうか、という見方になります。切妻屋根の片側だけを直すのであれば、おおむね半分。そこに乗るか乗らないかで扱いが変わってきます。下屋(1階部分の小さな屋根)だけを直すのであれば、多くの場合は過半に届きません。
もうひとつ、「一種以上」という言い方にも意味があります。屋根だけで過半に届かなくても、屋根と床の両方で足せば半分を超える、という計算はしません。壁は壁、屋根は屋根、床は床と、それぞれの部位ごとに過半かどうかを見ます。
ここまでが、法律側の枠組みです。ここから、屋根の話に入ります。
ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。
令和6年2月8日、国土交通省住宅局建築指導課長から各都道府県あてに、「屋根及び外壁の改修に関する建築基準法上の取扱いについて」(国住指第355号)という技術的助言が出されました。そこには、こう書かれています。
「また、既存の屋根の上に新しい屋根をかぶせるようないわゆるカバー工法による改修は、法第2条第14号に規定する大規模の修繕及び同条第15号に規定する大規模の模様替には該当しないものと取り扱って差支えない。」
屋根ふき材のみの改修も、カバー工法も、そもそも大規模の修繕・模様替には当たらない。当たらないのですから、2号建築物であろうと、確認申請の話にはなりません。
「屋根ふき材」と「屋根」は別物です
ここを取り違えると、話が丸ごとひっくり返ります。少し丁寧にご説明します。
建築基準法でいう主要構造部としての「屋根」は、構造体のことを指します。母屋、垂木、野地板といった、屋根の形をつくっている部材です。一方、その上に載って雨風を受けている瓦・スレート・金属板・防水層などが「屋根ふき材」にあたります。
屋根を人にたとえるなら、骨組みが「屋根」、着ている服が「屋根ふき材」です。服を着替えても骨格は変わりません。屋根ふき材の葺き替えは、この「着替え」にあたるため、主要構造部の修繕には当たらない、という整理になっています。
ですから、瓦からガルバリウム鋼板へ、スレートから金属屋根へ、といった屋根材の変更も、下地に手を入れないのであれば同じ扱いです。どの屋根材を選ぶかで手続きが変わることはありません。屋根材そのものの選び方は瓦・スレート・ガルバリウム鋼板の比較にまとめていますので、あわせてご覧ください。
防水紙(ルーフィング)まで替える場合は
葺き替えでは、屋根材の下に敷かれている防水紙も一緒に張り替えるのが一般的です。これが屋根ふき材の側なのか、屋根の構造の側なのか、というご質問をいただくことがあります。
技術的助言の参考資料には断面図が添えられており、屋根の層としてスレート等・防水層・野地板(合板)・垂木・母屋が描かれています。ただ、防水紙まで含めた工事がどう扱われるかを一律に申し上げるのは避けたいところです。屋根の形も工事範囲もお住まいごとに違いますので、判断が微妙になりそうな場合ほど、後述する特定行政庁への確認が効いてきます。
ただし、ここには続きがあります。国土交通省の解説資料には、大規模の修繕・模様替に該当する屋根の改修の例として、次のように示されています。
つまり、屋根ふき材だけを替えるつもりが、野地板も垂木も含めて屋根を構成する全ての材をやり替えることになり、それが真上から見て半分を超えるなら、大規模の修繕・模様替に当たる、ということです。
現場では、開けてみて分かることがあります
これは制度の説明として重要なだけでなく、現場の実感としても大事な話です。
瓦をめくってみたら、防水紙の下の野地板が湿気で傷んでいた。長く雨水が回っていた箇所だけ、合板が柔らかくなっていた——こうしたことは、実際に起こります。当社の現場でも、瓦の裏面からの剥離による雨漏りや、コロニアルを塗装ではなく葺き替えでお直しした事例のように、めくって初めて下地の状態が分かるケースがあります。
お見積りの時点では「屋根材の葺き替え」のつもりだったものが、着工後に「野地板も張り替えましょう」となることは、あり得る話です。そしてその範囲が屋根全体の過半に及ぶのであれば、手続きの要否が変わってきます。
野地板の張り替えが必要になりやすいのは、次のようなお住まいです。
- すでに雨漏りしていて、天井や小屋裏にシミが出ている
- 屋根に上がると、足元がふかふかと沈む感触がある箇所がある
- 過去に何度か部分補修を繰り返している
- 谷板金や壁との取り合いなど、水が集まる箇所の周りが傷んでいる
- 築年数が経っていて、これまで一度も下地を見たことがない
もっとも、こうしたお住まいでも、傷んでいるのが屋根の一部であれば、その部分だけの張り替えで済むことは多くあります。屋根全体の過半に及ぶのは、全面的に下地からやり直すような工事のときです。
同じ技術的助言(国住指第355号)では、外壁についても示されています。
あわせて、既存の外壁に新しい仕上材をかぶせるような工法による改修等についても、同じく該当しないものとして取り扱って差支えないとされています。外壁のカバー工法も対象外だ、ということです。
屋根と同じで、続きがあります。外装材の改修を行うことで外壁を構成する全ての材を改修することになる場合、その改修部分の総面積が過半であれば、大規模の修繕又は大規模の模様替に該当する、という趣旨の整理がされています。
なお、外壁塗装は当然に対象外です。塗り替えは主要構造部を造り替える工事ではないため、そもそも修繕・模様替の議論に入りません。「外壁塗装にも確認申請が要るのでは」というご心配は、不要とお考えいただいて差し支えありません。
ここまでの内容を、工事内容ごとに一覧にまとめます。木造2階建て(2号建築物)のお住まいを想定しています。
| 工事内容 | 大規模の修繕・模様替に当たるか | 確認申請 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 屋根の塗装 | 当たりません | 不要 | 造り替える工事ではないため、そもそも対象外です |
| カバー工法 (重ね葺き) |
当たりません | 不要 | 技術的助言で明記。個別の判断は特定行政庁の確認が必要です |
| 屋根ふき材のみの 葺き替え |
当たりません | 不要 | 屋根材の種類を変える場合も同じ扱いです |
| 野地板まで張り替える 葺き替え(過半) |
当たります | 必要 | 屋根を構成する全ての材の改修が総水平投影面積の過半に及ぶ場合。個別の判断は特定行政庁の確認が必要です |
| 外壁塗装 | 当たりません | 不要 | 造り替える工事ではないため、そもそも対象外です |
| 外壁カバー・張り替え (外装材のみ) |
当たりません | 不要 | 外壁の全てを改修することに該当する場合は、この限りではありません |
| 外装材+下地まで (過半) |
当たります | 必要 | 外壁を構成する全ての材の改修が総面積の過半に及ぶ場合。個別の判断は特定行政庁の確認が必要です |
| 平家かつ200㎡以下の お住まいの場合 |
当たることはあります | 不要 | 3号建築物にあたり、大規模の修繕・模様替であっても手続不要とされています |
この表は、あくまで一般的な整理です。お住まいの形状や工事の範囲によって判断は変わります。次の章が、この記事でもうひとつ大事な部分です。
ここまで国土交通省の技術的助言をもとにご説明してきましたが、技術的助言はあくまで、国から都道府県・特定行政庁に向けて出された助言です。地方自治法の規定に基づくもので、個別具体の工事が大規模の修繕・模様替に当たるかどうかを最終的に判断するのは、特定行政庁になります。
さいたま市にお住まいであれば、さいたま市の建築指導を所管する部署が、その特定行政庁です。当社の一般的な説明を鵜呑みにせず、実際の工事内容が固まった段階で確認する、という運びになります。
確認の流れ
- 点検・現地調査で、屋根ふき材だけで済むのか、下地まで及ぶ可能性があるのかを見立てます
- 工事内容が固まった段階で、手続きの要否について特定行政庁に確認します(当社から確認することもできます)
- 手続きが必要な工事であれば、設計者を立てて建築確認・完了検査の段取りを組みます
確認するときは、工事の範囲が分かるもの——お見積りや、屋根伏図のような図面——を手元に置いてお話しするのが確実です。「葺き替えをしたいのですが」だけでは、先方も答えようがありません。どの部材まで手を入れるのか、その範囲が屋根全体のどれくらいかが伝われば、話が早く進みます。
「たぶん要りません」で工事を始めてしまうのがいちばんよくありません。逆に、必要のない手続きを勧められて費用が乗るのも避けたいところです。どちらの方向にも寄りすぎないよう、確認できることは確認する、というのが結局いちばん確実です。
最後に、お施主様の側から見た実務の話をします。
屋根の葺き替えのお見積りに「確認申請費用」という項目が入っていたら、まずはどういう理由で必要になるのかを聞いてみてください。屋根ふき材だけの葺き替えなのか、野地板まで張り替えるのか。張り替えるとしたら屋根全体のどれくらいの範囲なのか。その説明が返ってくるかどうかが、ひとつの判断材料になります。
説明できる業者であれば、必要な手続きを適切に踏んでくれるはずです。逆に「法律が変わったので必要です」だけで終わってしまう場合は、もう少し詳しく聞いてみたほうがよいと思います。
誤解のないように申し添えますと、確認申請費用が入っていること自体が悪いわけではありません。本当に下地の全面やり替えを含む工事であれば、必要な手続きであり、必要な費用です。設計者への報酬も、手数料も、実際にかかります。問題になるのは、必要かどうかの説明がないまま項目だけが立っている場合です。
そして反対のケースもあります。明らかに下地の全面やり替えを含む工事なのに、手続きの話がまったく出てこない見積書。これも気にかけておきたいところです。見積書の読み方についてはリフォームの見積書、ここだけ見れば騙されないで整理していますので、あわせてご覧ください。
あわせて、費用が100万円以上のリフォームではアスベストの事前調査が義務づけられています。こちらは確認申請とは別の制度ですが、屋根・外壁の工事では関わってくる話です。
住医やたべでは、屋根の無料点検・雨漏り調査を承っております。下地まで手を入れる必要がありそうかどうかも含めて、現状を正直にご説明します。工事をご依頼いただかなくても構いません。他社さんのお見積りについてのご相談も、遠慮なくお持ちください。