生活中の住宅で瓦屋根を葺き替える——雨養生ファーストの工程と軒天の特殊納まり【埼玉県さいたま市
📅 工事施工日:2014年3月
「明日は雨の予報だけど、今日中に瓦を全部剥がしてしまっていいのか」——瓦屋根の葺き替えでは、この判断が現場を左右します。新築工事なら一気に剥がして貼り直せばよいですが、お客様が生活している住宅では雨漏りを絶対に起こせません。
今回は雨養生を最優先に工程を組み、軒天の傷み・破風板なしという特殊な納まりにも対応した葺き替え工事の様子をご紹介します。
教科書通りの工程は「瓦全撤去→清掃→合板補強→防水紙→瓦葺き」ですが、生活中の住宅ではそのまま実行できません。天井・壁・床は仕上がっており、家具や生活用品もある中で、一晩でも雨に晒すわけにはいかないからです。
まず軒先側から、合板が3枚貼れる幅+1列分だけ瓦を剥がしました。この「1列余分」は、合板を貼り上げたあとに仮で瓦を戻すための分です。処分せずにトラックへ積んで保管します。
瓦を剥がしたあとは、屋根面に残った瓦くず・粘土・瓦桟などを丁寧に取り除き、清掃します。下地がきれいでないと合板がしっかり固定できず、補強の意味がなくなるためです。
合板の固定は墨出しが肝心
清掃後、厚さ12mmの針葉樹構造用合板を既存の垂木に固定します。垂木の位置を墨壺で正確に出してから釘打ちするのがポイントで、垂木以外の場所に打っても野地板の補強にはなりません。
今回は軒天(のきてん)も傷んでいたため張り替えが必要でした。ところがこの建物は破風板がなく垂木が見えているタイプで、工程が複雑になります。
広小舞の溝への差し込み納まり
軒先の「広小舞(ひろこまい)」という部材には溝が設けられており、軒天の端をここに差し込む構造になっています。細かく釘止めしなくてもしっかり固定でき、下から見たときの仕上がりも美しくなる、先人の知恵が詰まった納め方です。
野地板の上に防水紙を貼り、剥がして保管しておいた瓦を仮で戻します。その上からブルーシートを掛ければ、翌日雨が降っても室内への浸水を防げます。これが最初に設定した「雨養生ファースト」の工程の完成形です。
この状態にしておけば、雨の心配なく翌日以降の工程に進めます。生活中の住宅での葺き替えは、工程の順序と雨養生の段取りが品質を左右します。
瓦屋根の葺き替えや雨漏りが心配な方は、屋根の無料診断またはお問い合わせからご相談ください。