玄関屋根の銅板に穴と切れ──雪止め工事中に発見、塗り替え1年で見落とされた傷み【北本市】
📅 施工年月:2015年1月
北本市の現場2日目、雪止め取り付け工事を進める途中で、玄関屋根の銅板に穴と切れを発見しました。瓦と銅板を組み合わせた屋根で、瓦と接する部分の銅板が経年で薄くなり、軒下にはすでに雨漏りのシミも。前年に塗り替えをしたばかりにもかかわらず、見落とされていた箇所です。なぜこの位置で銅板が傷むのか、なぜ葺き替え以外に選択肢がないのかを記録に残します。
目次
1雪止め工事の延長で、瓦下を点検した
昨日に引き続き、北本市での瓦の雪止め取り付け工事です。
後付け雪止めの取り付け中に、瓦を数枚剥がす機会がありました。せっかくですので、瓦を剥がした隙に、屋根の中身も点検しておきます。点検したのは以下の項目です。
- 瓦の下に敷かれた防水紙(アスファルトルーフィング)の状態
- 瓦を支える瓦桟(かわらざん)の傷みやシロアリ被害
- 雨漏りの跡(野地板や垂木のシミ)の有無
結果は、いずれも異常なし。屋根本体は良好な状態でした。「ついで点検」として行ったので、ここで終わるはずでした。
2玄関屋根の銅板に「穴」と「切れ」──偶然の発見
ところが、足場を移動中、ふと玄関屋根が目に入りました。
このお宅の玄関屋根は、瓦と銅板を組み合わせた、いわゆる「玄関ポーチの装飾屋根」です。地上から見上げる分には特に異常を感じない、きれいな仕上がりに見える屋根でした。

ところが、屋根の上から近づいて見ると、瓦と接している部分の銅板が、明らかに色が変わっていました。薄茶色になっている部分です。

近づいて確認すると、銅板自体がかなり薄くなっています。さらに、よく見るとすでに穴が開いており、一部は切れていました。

軒の裏側を確認すると、軒板にうっすらと雨漏りのシミも残っていました。すでに雨水が銅板を抜けて、内部まで到達していたということです。
3なぜ瓦と接する位置で銅板が傷むのか
銅板は、屋根材として非常に長持ちすることで知られています。神社仏閣の屋根に使われるのも、その耐久性ゆえです。ところが、特定の条件下では銅板でも局所的に腐食が進みます。
瓦と銅板の取り合い部分は「腐食ホットスポット」
瓦と銅板が接している部分は、銅板がもっとも傷みやすいポイントの一つです。理由は3つあります。
- 瓦に染み込んだ雨水が、瓦から滴り落ちる位置に集中して銅板を打ち続ける(雨だれによる物理的削れ)
- 瓦の表面に含まれる釉薬(ゆうやく)成分や、瓦に堆積する苔・酸性物質が、雨水に溶けて銅板に流れ込む
- 瓦と銅板の隙間に水分が長時間残留し、酸性化した水が銅を局所的に溶かす
結果として、屋根全体の銅板は健全でも、瓦と接するほんの数センチの帯状部分だけが薄くなり、最終的に穴が開きます。屋根を上から見て、瓦の裾に沿って銅板の色が薄茶色〜黄銅色に変わっていたら、要警戒のサインです。
近年は酸性雨の影響で、銅板の劣化が以前より早くなっていると言われます。「銅板=半永久」というイメージは、現代の住宅環境では必ずしも当てはまらなくなってきました。
4葺き替えしか選択肢がない、3つの状態
今回の銅板は、すでに以下の3つの状態が揃っていました。
- 銅板に穴が開いている(雨水の侵入経路が完成している)
- 銅板が部分的に切れている(これ以上の劣化が早く進む)
- 裏側の軒板にシミがある(すでに内部まで水が回っている)
このいずれか1つでも、補修ではなく葺き替えを検討する目安になります。今回は3つすべてに該当しているため、補修(部分的な板金あて補強)では、すぐにまた同じ症状が出ます。葺き替えするしか選択肢はありません。
幸い、雨漏りはまだシミ程度で、室内側まで及んでいないタイミングでした。室内に被害が出てからの修繕は、屋根の葺き替えに加えて天井・壁の補修も必要になり、費用も期間も大きく膨らみます。早めに発見できて、本当に良かった現場です。
51年前の塗り替えで、なぜ見落とされたのか
このお宅は、2014年2月に外壁の塗り替えをされていました。今回の発見が2015年1月ですから、たった1年前の話です。
外壁の塗り替えのときは、足場が組まれます。屋根のすぐ近くまで職人が上がります。にもかかわらず、玄関屋根の銅板の傷みは見落とされていました。
なぜ見落とされたか、考えられる理由
- 塗り替え担当者が、外壁の塗装範囲しか確認していなかった
- 屋根に詳しくない塗装専門の職人で、銅板劣化のサインを判別できなかった
- 玄関屋根が小さく目立たないため、注意の対象から外れていた
知らずにいれば、軒板が腐ってくるまで気づけなかったでしょう。そうなる頃には、室内の天井にもシミが出ているか、最悪は雨漏りが顕在化しているはずです。
外壁の塗り替えや屋根工事を依頼する際は、屋根まわりまで一通り点検できる業者を選ぶことを強くおすすめします。塗装専門・屋根専門と分かれている業者の場合、その境界線にある不具合(今回のような屋根板金の劣化)が見落とされがちです。